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  • 2018.03.29 Thursday

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    国会周辺の抗議活動に対する警察の過剰警備に抗議する申入書(2018年3月29日執行)

    • 2018.03.29 Thursday
    • 19:58

    警察庁長官 栗生俊一 殿

     

    国会周辺の抗議活動に対する警察の過剰警備に抗議する申入書

     

    申入の趣旨

     

    国会、官邸周辺の警備については、抗議活動等に参加する市民の表現の自由の不当な制約に当たらぬよう必要最小限度の規制に限定されたい。

     

    申入の理由

    1 私たちは、2012年より官邸前や国会周辺における市民によるデモや抗議活動を見守り、その表現の自由を守るために活動してきた有志の弁護士集団である。

      本年3月16日を中心として、所謂「森友学園をめぐる問題」や「公文書改ざん問題」に抗議する多数の市民が国会及び官邸周辺で抗議活動を行った(以下、「本件抗議活動」という)。ところが、これに対して、警察が明らかに必要な限度を超えた規制を行ったので、これに対し、私たちは、強く抗議すべく、本申入書を提出する。

     

    2 そもそも、民主主義は、国民がその言論活動を通じて政治過程に参加することを前提としており、とりわけ権力の腐敗や汚職を批判する言論活動は、専制政治から民主主義を守る最後の防波堤である。憲法21条1項は、「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する」と定める。民主主義と国民の権利は、「国民の不断の努力によつて保持しなければならない」と定めるのはその趣旨であり、国民がデモや集会その他の表現行為により自らの意見を表明し、政府の腐敗や汚職を追及する権利は最大限度尊重されなければならない。

    したがって、デモや集会の際に警察活動により必要な警備が認められ、それにより国民の言論活動が一定程度規制できるとしても、その規制は、〔榲が正当なものであり、¬榲達成のために規制手段が必要な範囲のもので、かつ5制によって得られる利益とこれによって侵害される権利・利益が均衡している場合にのみ認められる(比例原則)。かが常に吟味されなければならない。

    また、政府の腐敗や汚職を批判する言論活動が警察の警備活動により恣意的に妨げられてはならないことも当然である。この点、警察法2条2項は、「警察の活動は、厳格に前項の責務の範囲に限られるべきものであつて、その責務の遂行に当つては、不偏不党且つ公平中正を旨とし、いやしくも日本国憲法の保障する個人の権利及び自由の干渉にわたる等その権限を濫用することがあってはならない。」と定めているから、デモや抗議参加者や歩行者の安全のために本件抗議活動に対して規制を行うことが許されるとしても、その規制は国民の生命身体の保護のために必要最小限度のものでなければならず、これを越える規制は、憲法21条1項、同13条(比例原則)及び警察法2条2項に違反して、違憲・違法である。

     

    3 本件抗議活動は、森友学園をめぐる汚職や財務省による文書改ざん等、政治腐敗を追及する極めて公益性の高い言論活動である。行政に対する信頼が根底から揺るがされ、行政府が謝罪を行わざるを得ない事態となっており、これに対する市民の怒りは従前の国会周辺における抗議活動に比しても非常に強いものとなっている。行政の腐敗に対する怒りの声を、行政府ひいては公権力はこれを誠実に受け止めなければならないことは明らかであり、政治の正常化を求めて怒る市民に対して、公権力がこれを力と権力によって抑圧すれば、より多くの反発が生じるのは必至である。

    したがって、本件抗議活動に対する公権力による規制は、これまで以上に謙抑的で、市民の声をどのように受け止めるかという観点においてなされなければならず、公平中立性に疑いをもたれるものであってはならない。ところが、3月16日に行われた本件抗議活動に対する規制は、以下のとおり、明らかに必要最小限度の規制を超えていた。

     

    4 本年3月16日に行われた抗議活動には、以下の点において、過剰・不当な点があり、違憲・違法であることは明らかであるので、直ちに改めなければならない。

     

    |浪偲苅拡崕亳と4番出口の間の不当な通行規制

    地下鉄「国会議事堂前」駅の3番出口と4番出口の間(資料1:画像「A2」及び「A3」に当たる区域)では、警察官が歩道上に鉄柵によるバリケードを設置し、また、歩道の進行方向と垂直になるように隊列を組んで歩道上の抗議参加者が歩道上を移動できないように規制したことにより、抗議参加者の歩道上での通行が著しく妨げられ、抗議行動が妨げられた。

    警備当局としては、歩道上の人数が過多になることで将棋倒しや転倒等の危険が生じることを防ぐために必要性がある措置だと反論することが考えられる。しかし、上述の通行規制によって「A2」及び「A3」地点はほとんど無人とも言えるほどの十分な空間が確保されていたため、かかる無人の空間への抗議参加者の立ち入りを認めても危険が生じないことは明らかであるから、警察が隊列を組んで通行を規制することに何ら合理性はなかった(資料2:写真)。また、歩道上の状況はなんら変化していないにもかかわらず、警備当局は、スタッフ側の抗議又は時間の経過により、警察官による隊列の封鎖位置を少しずつ引き下げるような対応も取っており、当該封鎖の必要性が存在していないことを警備当局としても把握していたものと評価せざるを得ない。

    現に、先週月曜日(12日)の夜に行われた官邸前抗議では、歩道上に空間が生じた際には、現場の警察官は抗議呼びかけスタッフによる誘導を要請した上で、抗議参加者を官邸寄り前方方向に移動させる措置を執った。同様の措置を摂ることは金曜日(16日)にも十分可能であったのであり、同日に行われた通行規制はまったく無用なものであった。

    よって、歩道上の通行に関する当該規制は、過剰・不当なものであることは明らかである。

     

    地下鉄国会議事堂前駅の出口付近での不要な封鎖

    同駅においては、首相官邸に近い歩道につながる3番出口及び4番出口は抗議が開始される19時30分に先立つ18時ころから抗議が終了する22時頃まで、終始通行が規制されており、過剰な封鎖が常態化している。当該封鎖状況は下記表のとおりである。

    当該封鎖により、「国会議事堂前」駅を下車して抗議行動に参加すべく地上に上がろうとする参加者の多くが地上に出ることを妨害され、抗議行動が妨げられた(資料3:写真)。

    警備当局としては地上の歩道が抗議参加者で埋め尽くされているとして、事故防止のための必要な措置であると反論することが考えられる。しかし、上記,能劼戮燭茲Δ亡嬰〜以眛擦禄淑な空間が確保されていたことに加え、抗議の継続のための空間が満員になったとしても、歩道上においては警察官が設置したカラーコーンによって通路可能なスペースが確保されていた。3番出口及び4番出口から地上の歩道に上がった人はその通路を使って抗議参加者の最後尾に安全かつ円滑に合流することが容易であった。歩道上のカラーコーンによる通路確保という形で、警備は必要十分なされていた。

    【表:封鎖状況(弁護団が把握した限りの概要)】

       各記載のうち×が封鎖された状態、〇が開放された状態を指す

     

    1番

    2番

    3番

    4番

    抗議開始前

    18時頃―19時30分頃

    上り

    下り☓

    上り

    下り○

    上り

    下り○

    上り○

    下り○

    抗議前半

    19時30分―21時頃

    同上

    上り

    下り○

     

    上り

    下り○

    上り

    下り○

    抗議後半

    21時頃―22時頃

    同上

    上り

    下り○

    上り

    下り☓

    上り

    下り☓

    抗議終了後

    不明

    開放

    開放

    開放

      よって、当該封鎖行為は、市民の移動を妨げる過剰・不当なものと言わざるを得ない。

     

    7挌に当たっている機動隊員による暴力が多数確認されていること

      本年3月12日以降、官邸前での抗議活動が続けられているが、同月16日に至るまで通行規制のために歩道に上がった警察官が、抗議参加者の持つプラカードやカメラを手で払い除けたり、参加者の体に背後から肘打ちしたりするなどの暴力を振るっていることが参加者の多数の証言から明らかとなっている(資料5:ツイート)。

      具体的には、3月12日、官邸前の通路でスタンディングをしていた女性が、婦人警官2人に引きずられて撤去させられ、足を痛める、ストッキングが破れる、服のボタンが取れるなどという被害を受けたという申告が、見守り弁護団に寄せられている。   

    また、見守りに参加した弁護士においても、隊列を組んだ警察官が市民の通行を妨害していた際、警察官が市民を手で押し返す行為を現認している。

      また、本件抗議活動において、警察官が参加した市民に対して「一般の人はデモには来ません」(つまり、デモに来ている人は一般人ではないということ)などと冷笑しながら言い放つなど、極めて侮辱的発言・態度を取るに至っている。なお、そのような発言がなされながら、抗議活動の参加者ではない通行人に対してすら、通行妨害が行われている様子が、見守り弁護団において多数目撃されている。

      当該暴力、暴言は、抗議活動に来た市民の怒りを過剰に煽るものに他ならず、なんら正当性は認められない。先に述べたとおり、警備にあたる警察官の心構えとして、市民の怒りをどのように受け止めるかという視点を共有した上で、対応されたい。

     

    な眛擦満員で将棋倒しが発生し得る危険な状態が発生しているにもかかわらず車道を緊急的に解放する準備がないこと

    資料1:貼付画像「A」側では、歩道と車道の間に多数の鉄柵が設置された。鉄柵同士は相互に鉄板及びロープで固定されており、容易に撤去・解放することができない状態に置かれていた(資料5:写真)。これにより、仮に抗議参加者が増加し、歩道内で抗議するために立ち止まる人が滞留して歩道上が飽和状態となった場合であっても車道に避難することができない状態となっていた。そのため、歩道上が飽和状態となるような不測の事態が発生した場合に、歩道内で転倒や将棋倒しが発生し、重大な事故が発生する危険が高い。

    現に、金曜日(16日)の抗議においては、人混みの中で気分が悪くなり帰宅しようとした参加者が歩道上の警察官の人並みと鉄柵に阻まれ、容易に人混みから離れることが出来ずに救護活動をするボランティアスタッフに引っ張り出される形でようやく抗議現場を抜け出すという事態が生じている(資料6:ツイート)。また、子ども連れの参加者が、歩道を警察に封鎖されていたため身動きが取れなくなり、ボランティアスタッフの援助を受けて脇から路外に出ようとしても設置された鉄柵により出ることができないという事態となった。警察官に要請をしても何ら対応は取られず、結果として救護班が用意した脚立を使用して鉄柵を乗り越えることができたが、警備体制として参加者の安全に配慮するようなことはなかった(資料7:ツイート)なお、この参加者は、路外に出た後は、警察官から身体を押されながらプラカードをしまえと執拗に申し向けられ、「身体を触るのを止めて下さい」と懇願しても「プラカードをしまったら触りません」という強硬な態度を取っており、抗議そのものを抑圧しようという姿勢すら見受けられる。

    かような事態に対処するためにも、抗議参加者が一時的にでも車道に退避できるような体制を整えておくことは必要不可欠であるから、鉄柵を強固に固定し、容易に撤去・解放することができない状態で警備を行うことは、緊急時の柔軟な対応を阻害するものと言わざるを得ず、ひいては参加者の安全を害する結果となり得るものであって極めて危険である。かような抗議は、従前の抗議活動の際に見守り弁護団が重ねて抗議を行っており、市民に対する危険が生じていないなどということは到底言えない。

    当該警備体制は、警備を行う側が、通行の安全確保等を唱えながら、実態として市民を危険にさらすという結果を招いているものと評価せざるを得ず、当該警備対応は極めて不当であり、市民がいかに安全に抗議活動を行えるかという視点から、改めて警備体制を見直すべきである。

     

    ァ々概銚討咾けスタッフや救護班が緊急的に車道に出ることを妨げられていること

      抗議を呼びかけた団体のメンバーや、救護班、及び見守り弁護団のメンバーについては、抗議現場での混乱や事故の発生の防止、参加者の安全確保等のために、現場での警察官と協力して病人の救護やスタッフ間の連絡、交通整理等を行う目的で緊急の必要性がある場合には、一時的に車道に出ることもやむを得ないものといえる。しかし、金曜日(16日)の抗議では、スタッフが腕章をしているにもかかわらず、「抗議参加者は歩道にあがれ」などと言われて車道に出ることを妨害されるスタッフが続出した。

    これにより、多数の市民が抗議に参加している現場において、混乱や事故を避けるために円滑な進行や補助を行うことが妨げられた結果、無用の混乱が生じ、事故や体調不良者の救護に支障が生じるに至っている。

    当該警備についても、警備を行う側が、参加者の安全確保等を唱えながら、実態として市民を危険にさらすという結果を招いているものと評価せざるを得ず、当該警備対応は極めて不当であり、市民がいかに安全に抗議活動を行えるかという視点から、改めて警備体制を見直すべきである。

     

     以上を全体として抗議参加者と警備警察官との間に軋轢が高まっており本来避けられる衝突や逮捕が生じやすくなっていること

      本年3月16日の抗議活動においては、上記のとおり過剰・不当な警備により、警察官と参加者との衝突が生じることとなり、2名の逮捕者を出すに至った。当該逮捕者らは勾留請求されることなく釈放されており、本来逮捕の必要性があったかすら疑問の余地なしとしないが、それを措くとしても、行政府の公文書改ざん等を受けた市民の怒りに対して、警察官が過剰・不当な警備によりこれを抑圧しようとした結果として、本来避けられるはずの軋轢が生じ、無用な衝突や逮捕が生じざるを得なくなったものと評価せざるを得ない。

      かような衝突を未然に防ぐためにも、市民の移動、抗議活動を尊重する形での警備体制を取ることがなによりも求められるものである。

     

    5 以上のとおり、本件抗議活動に対する規制は、2012年以来行われてきた規制と比較しても著しく過剰であり、一部の規制は抗議によって撤廃されたことからからも、明らかに必要最小限度とはいえない。そればかりか、過剰な規制によって多数の集会参加者に混乱を招き、かえって人の流れを妨げ、危険な状態が作出されるに至ってすらいる。本件抗議活動に対する規制は、憲法21条1項、警察法2条2項に違反して、違憲・違法であった。申入の趣旨のとおり、国会、官邸周辺の警備については、抗議活動等に参加する市民の表現の自由の不当な制約に当たらぬよう必要最小限度の規制に限定するよう、申し入れるものである。

     

      最後に、今回の警備体制の問題点を端的に表現したい。それは、警察が一方的に設定した警備目的の正当性のみが強調され、市民の憲法上の権利である抗議行動の自由が何ら顧みられていない、ということである。

    確かに、参加者の身体の安全、歩道及び車道の交通の円滑は警察の警備行動の目的として正当なものである。しかし、これらの目的を達成しようとする余り、抗議行動を行う市民の自由が過度に制約されてしまうのであれば、それは、「安全」を名目にすれば結果的に「自由」が抑圧されても致し方ないということに他ならない。警察の責務は、「自由」を抑圧せずに「安全」をいかに確保することにあるのであって、警察がより重要と考えた目的のみが守られ、他方で市民の抗議する権利がないがしろにされてしまうということはあってはならないし、警察にそこまでの法的な権限が付与されているものとは到底解されない。

    したがって、警備当局が抗議参加者の自由を尊重せず、「安全」「交通」を理由とする過剰警備を改めないのであれば、見守り弁護団としてはそのような態度を一切容認しないし、今後も引き続き、抗議する。

    以上

     

    2018年3月29日

     

    官邸前見守り弁護団

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      国会正門前の車道開放を求める緊急声明

      • 2015.09.16 Wednesday
      • 11:37

      警視庁警視総監 殿
       
                     国会正門前の車道開放を求める緊急声明
       
       私たちは、2012年6月より、国会周辺の抗議デモを継続的に見守っている有志の弁護士で構成される「官邸前見守り弁護団」である。
       現政権が所謂「安全保障関連法案」を国会に提出したことを契機に、現在、国会正門前においては、同法案に反対する市民の抗議活動が多数の参加者を得て活発に行われている。とりわけ本年8月30日には主催者発表で12万人、9月14日には主催者発表で4万人が国会正門から国会前交差点の車道を埋め尽くした。これは近年の抗議活動で最大規模といわれる。
       これに対し、御庁は、警備体制を強化し、車道と歩道の間に鉄柵をめぐらし、車道には警察車両を並べて配置し、鉄柵の車道側には警察官を配置して抗議参加者が車道に出ることを制圧している。しかし、上記に及ぶ人数の参加者は、すでに歩道で収容し切れる限度を超えており、御庁による厳しい規制は、結果として、鉄柵をはずして歩道から車道に出ようとする市民とこれを制圧する警察官とが鉄柵を挟んで押し合いをする事態に発展する等の混乱を生じさせている。8月30日と9月14日は、両日とも、最終的に鉄柵が外され、車道が開放された。
      御庁は、上記鉄柵や警察車両の措置について、参加者の安全や車道の確保を理由とする。しかし、参加者の安全という点では、狭い歩道に数万人規模の参加者を押し込むのは物理的に無理があり、これに反発した市民が鉄柵を押して車道に出る混乱が生じる等、かえって危険である。参加者には高齢者も多く、9月14日には、狭い場所に人が密集したことにより、目眩や高血圧、脱水症などの症状を訴えて10数名が治療を受けた。警察官と鉄柵を押し合って怪我をした市民もいる。このように、空前の人数に膨れあがった抗議参加者を、狭い歩道に閉じ込めて鉄柵で囲うということ自体が、重大な人権侵害である。
       そもそも、市民による抗議活動は憲法21条1項「一切の表現の自由」として保障されるところ、政治的表現の自由は民主主義の生命線であって、国政上最大限の尊重を必要とする。一方、警察による警備活動の根拠法は警察法第2条であるが、その2項が「日本国憲法の保障する個人の権利及び自由の干渉にわたる」ことを禁止しているとおり、その規制は国民の生命身体の保護のために必要最小限度のものでなければならない。とりわけ、本件で問題となる安保法制は国民の権利に大きくかかわる国政上の極めて重要な争点であり、他方、国会周辺は迂回路が多く、道路が封鎖されても車両の通行に対する不利益はさほど大きくないのである。また、同法2条1項は「警察は、個人の生命、身体の保護に任ずる」とその責務を謳っているが、歩道に参加者を押し込めることは危険であり、車道を参加者に開放することの方がかえって参加者の安全確保に資するものである。現に8月30日も9月14日も車道が開放されているが大きな支障はなかったことに鑑みれば、むしろ、最初から国会正門前の車道を開放する方が法の趣旨にかなうと考える。
       そこで、当弁護団は、本日以降の抗議について、午後6時半から10時までの間、国会正門前交差点から国会前交差点までの車道を抗議参加者に開放することを求めるものである。
       
                                                      以上
      2015年9月16日
                                               官邸前見守り弁護団  
       
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        抗議活動参加者への、警察官による傷害事件について、所轄警察署に告訴状を提出しました。

        • 2015.09.14 Monday
        • 15:50
         
         本年9月11日午後7時6分ころ,国会周辺の安保法案に反対する抗議活動に関連し、「国会前交差点」 の南北横断歩道南側で,警視庁第四機動隊3中隊所属の氏名不詳の警察官が,斜め後ろの子どものほうを振り返るようにしていた被害者の左肩やや下の背中側をつく暴行を加えて転倒させ,頭,肘,腰を歩道に強打する傷害を負わせたという事件が発生しました。本件は,国政の重要問題について,憲法上の表現の自由(政治的意見表明の自由) を行使するために国会前を訪れた一市民に対し,警察が,参加者の安全・憲法上の権利の行使よりも,警察が一方的に決めた人数以上に正門正面エリアに人員を流入させないことを絶対の優先課題としたことによって生じた暴力行為であり、問題は重大です。

         見守り弁護団は、本日10時、所轄の麹町警察署に告訴状を提出しました。以下は、告訴状の内容です。


                                     告 訴 状
                                             
                                                2015年(平成27年)9月14日

        警視庁麹町警察署長 殿

                                      告訴人代理人
                                        弁護士 中川 重徳
                                        同 神原 元
                                        同 河崎健一郎
                                        同 武井 由紀子
                                        同 田部 知江子
                                        同 永田 亮
                                        同 杉浦ひとみ
                                        同 足立 悠
                                        同 野口 景子

                              告訴人  別紙当事者目録記載のとおり

                              告訴人代理人 別紙代理人目録記載のとおり

                              被告訴人 警視庁第四機動隊三中隊に所属する
                                            氏名不詳の機動隊員
                                              
                                      告 訴 事 実
          被告訴人は,
            平成27年9月11日午後7時06分ころ,東京都千代田区永田町「国会前」交差点の南西端において,警視庁第四機動隊所属の警察官として「安保法案」に対する抗議行動への参加者を規制する警備活動を行った際,同交差点南西端の三角形歩道から北西端を結ぶ横断歩道を封鎖するようにとの指示を受け,歩行者らが同歩道と横断歩道の境界付近にに立ち止まった状態で青信号に従って横断させるよう求めたのに対し,他の警察官らとともに横一列の隊形に並んで通行を阻止したうえ,同市民らを歩道の内側に力づくで後退させようとして横一列のまま南方向に前進した際,歩行者の最前列で歩道から一歩横断歩道上に降りた位置で被告訴人ら警察官に背を向けるようにして斜め後ろの子どもを振り返っていた告訴人(1962年〔昭和37年〕●月●日生まれ・女性)の左背部を被告訴人の肩ないし腕で強く押す暴行を加え,告訴人を後方に転倒させ,頭,肘,腰を歩道に強打して全治数週間を要する打撲傷を負わせて
        人の身体を障害したものである。

        罰条 傷害罪(204条)

                              本件の経緯および重大性

        1 本件は,憲法の立憲主義・法の支配,平和主義をゆるがすものと指摘され国政の重大問題となっている「安保法案」について,憲法21条の保障する表現の自由(政治的意見表明の自由)を行使するために,夫,子ども,他の家族とともに国会前を訪れた告訴人に対し,警察官が,参加者の安全よりも国会正門正面北側エリアに人員を流入させないことを優先し,違法な有形力を行使してでも青信号にしたがった横断を阻止しようとして生じた傷害事件である。
        2 すなわち,被害者である告訴人は,東京都狛江市在住し,大学生と小学生の子を持つ女性であり,市民として,親として,女性として,「安保法案」に対する自らの意思を表明するために,家族や同じく子育てをする地域の知人と話し合って当日国会前を訪れたものである。
        3 告訴人は,当日,午後7時前ころ,永田町駅から警察官の誘導・指示にしたがって本件横断歩道南側至り,いっしょに来ていた夫が先に横断歩道を南側から北側に渡ったのに続いて自らも子どもや他の大人(女性)とともに横断しようとしたところで警察官らによって横断を止められ,夫が先に渡っていてはぐれてしまう心配があるので渡らせてほしいと普通の言い方で警察官に求めたところ,横一列に隊列を組んでたちはだかるように整列して告訴人ら歩行者の横断を封じた。
        4 告訴人と同行の女性2名は,ほかの歩行者一名をはさんで歩道最前列に並ぶような格好になっていたが,告訴人および周囲の横断者は,警察官に対して実力で突破したり警察官を押しのけようとする行動は一切しておらず,告訴人も青信号になって渡ろうとして歩道から一歩横断歩道上に出ただけの位置であり(横断歩道を横切る車の通行はもともと禁止されているから全く安全状の問題は無い),告訴人の右背後には,3人の小学生がいる状態であった。
        5 警察官らは,当初は青信号まで待つように言っていたにもかかわらず,信号が青になって渡ろうとした告訴人らは,警察官らに強い力で押し戻されたので,整列した警察官と最前列の告訴人らとの間には約1メートルの間隔ができ,その状態で告訴人らは,他の歩行者らとともに,反対側の北側歩道には十分余裕があることを指摘して渡らせるよう冷静に懇請していたが,警察官らは横一列の隊列を組んだまま歩行者に向かって(南方向へ)前進し,告訴人が丁度右背後にいた子どもたちを振り返るようにしていたにもかかわらず,そのまま告訴人の右背部に警察官の肩ないし腕をぶつけるようにして押し続けたため,告訴人はどんとぶつかられる衝撃を感じて後方へ転倒し,歩道上の黄色い点字ブロック付近に頭,肘,腰を打ち付けたのである。
        6 告訴人はしばらく激痛で起き上がれずにいたが,整列した警察官は,同じ隊形で立ちはだかったまま告訴人を助け起こすこともしなかった。告訴人が起き上がれない状態であったため,周囲の者も警察官に抗議したり,弁護士を呼ぼうという声をあげ,しばらくしてようやく警察官らは封鎖を解除した。
        7 麹町警察署警備課長代理(高橋栄)も,当日,午後8時50分から同9時30分ころにかけて,現場で被害者および弁護士が抗議したのに対し,警察官の暴行の事実については「確認できない」としたものの,「警察としては子ども連れ,女性の方が行動に参加しても絶対に危険な目にあわないようにせねばならないという認識でいる」と弁明しているところであって,市民の安全を守る職責を負う警察官があろうことか女性を後ろから突き飛ばして転倒させるなどということは絶対にあってはならないことである。
        8 本人は,現場の救護班で応急手当の後,翌9月12日土曜日に近くの病院でレントゲン撮影を含む診察を受け,幸い骨折は無いものの,全治数週間を要すると見込まれる打撲傷と診断された。現在も,倒された際に頭,ひじ,腰等を歩道に打ち付けたことにより全身にあざがある状態である。
        9 本件は,第四機動隊3中隊所属の隊員が,命令に基づいて通行者に対峙して一列に並んで告訴人らを力尽くで後退させようとして起きた事件である。同隊の「向出」隊長も,「倒れていた被害者が起き上がったのは見えた,何人もの市民から警察官が倒したと言って抗議をうけた」と述べており,状況から言っても10人程度の警察官の面前で起きたことであるから,実行犯は容易に特定できるはずであり,厳正な捜査により実行犯および責任者を特定し処罰を求める。

        当事者目録

                              〒●−●
        東京都狛江市●●
              告 訴 人 ●

                              警視庁第四機動隊三中隊に所属
                                    被告訴人 氏名不詳
                                   
                                    告訴人代理人目録
                                   
                〒169-0075 東京都新宿区高田馬場1丁目16番8号アライヒルズ 2A
        諏訪の森法律事務所(送達場所)
                           弁護士 中川 重徳
        電 話 03−5287−3750
        FAX 03−5287−3780
                                   
                〒211-0004 川崎市中原区新丸子東2-895 武蔵小杉ATビル505号室
                                武蔵小杉合同法律事務所
                            弁護士 神原 元
                            弁護士 永田 亮
                              (電話044-431-3541番)(FAX044-422-5315番)
                             
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                            弁護士 河崎 健一郎
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                             弁護士 武井 由起子
                            電話045-212-5688番 FAX045-212-5667番
                           
                〒113-0033 東京都文京区本郷3丁目18−11 TYビル 3F
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                                  電話:03-3816-2061
                                 
                〒101-0052東京都千代田区神田小川町3−28−13
                  ラフィネお茶の水807号
                              弁護士  田部 知江子
                    電話 03−6869−5977 FAX 03−6800−1617
                                 
                〒252-0231 神奈川県相模原市中央区相模原3-8-26 サンライズビル4階
                                弁護士法人まちだ・さがみ総合法律事務所
                                弁護士 足 立 悠
                                  (FAX 042−730−5035番)
                                  (電話 042−730−5005番)

                〒171-0021  東京都豊島区西池袋1―17―10 エキニア池袋6階
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                            弁護士 野 口 景子
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                              FAX 03―3986―9018番


         
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          国会周辺の抗議活動に対する警察の過剰警備に抗議する申入書

          • 2015.08.14 Friday
          • 15:58
          警視庁警視総監 殿
           
          国会周辺の抗議活動に対する警察の過剰警備に抗議する申入書
           
          はじめに
           私たちは、本年7月24日に国会周辺でデモを主催した「安倍政権NO!☆実行委員会」と、国会周辺の抗議デモを継続的に見守っている有志の弁護士で構成される「官邸前見守り弁護団」である。前者は、2012年から継続的に官邸前で抗議を行っている「首都圏反原発連合」や安保法制に反対する学生で構成される「SEALDs-自由と民主主義のための学生緊急行動」等が含まれている。
          現政権が所謂「安全保障関連法案」を国会に提出したことを契機に、現在、国会周辺及び首相官邸前周辺(以下、「国会周辺」という)においては、同法案に反対する市民の抗議活動(以下、「本件抗議活動」という。)が多数に参加者を得て活発に行われている。これに対し、警察は警備体制を強化しているが、その警備は過剰であり、憲法が保障する表現の自由を不当に制約しかねないものとなっていることから、次のとおり申し入れる。
           
          申入の趣旨
          1 国会、官邸周辺の警備については、抗議活動等に参加する市民の表現の自由の不当な制約に当たらぬよう必要最小限度の規制に限定されたい。
          2 必要な規制を行う場合には、集会の主催者に事前に警備計画を示して了解を得るものとし、当該計画は現場の全ての警察官に周知徹底されたい。
          3 抗議参加者に対するビデオ・写真による撮影は、絶対に行わぬよう、徹底されたい。
           
           
          申入の理由
          1 国会周辺の警備が過剰であり、憲法の保障する表現の自由を不当に制約する者であること
          (1) 本件抗議活動は、安保関連法案に反対抗議する活動であり、とりわけ同法案が衆議院を通過した7月15日頃からは参加者の人数も数万人に及ぶ等、大規模な国民運動となっている。
            憲法21条1項は、「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する」と定める。民主主義と国民の権利は、「国民の不断の努力によつて保持しなければならない」(同12条)のであり、表現の自由はその最後の手段である。表現の自由は民主主義の生命線であって、専制政治に対する最後の防波堤であるから、国政上最大限の尊重を必要とする。とりわけ、本件で問題となる安保法制は全ての国民の生命に関わる問題であるから、国民がデモや集会により自らの意見を表明する権利を有するのは当然であり、本件抗議活動も憲法上「表現の自由」として保障され最大限度尊重されなければならない。
          また、警察活動については、基本的人権の擁護のために、比例原則の適用が憲法13条から導かれる憲法上の原則として認められる。比例原則は、権利・自由を制限する権力活動において、その権力活動が濫用にわたることを防止し、その限界を設定するために認められた原則であり、立憲主義の重要な要素をなす。この比例原則の適用にあたっては、当該権利・自由の制限について、〔榲が正当なものであるか、¬榲達成のために規制手段が必要なものであるか、5制によって得られる利益とこれによって侵害される権利・利益が均衡しているかが常に吟味されなければならない。
          本件で警察による警備活動の根拠法としては警察法第2条がある。同条1項は、「警察は、個人の生命、身体及び財産の保護に任じ、犯罪の予防、鎮圧及び捜査、被疑者の逮捕、交通の取締その他公共の安全と秩序の維持に当ることをもつてその責務とする。」と定める。他方、同条2項は、「警察の活動は、厳格に前項の責務の範囲に限られるべきものであつて、その責務の遂行に当つては、不偏不党且つ公平中正を旨とし、いやしくも日本国憲法の保障する個人の権利及び自由の干渉にわたる等その権限を濫用することがあってはならない。」と定めているから、参加者や歩行者の安全のために本件抗議活動に対して規制を行うことが許されるとしても、その規制は国民の生命身体の保護のために必要最小限度のものでなければならず、これを越える規制は憲法21条1項、同13条(比例原則)、及び警察法2条2項に違反して、違憲・違法である。
            なお、国会周辺における抗議活動は、2012年4月頃から、「脱原発」「秘密保護法」等のテーマで様々な団体が2012年頃から引き続き行ってきた。それらの抗議活動は所轄の警察署に相談しながら整然と行われており、これまで一定の秩序が保たれてきた。今回の規制の適否を判断するにあたっても、これまで3年間に保たれてきた既存の状態を一種の慣習法として尊重すべきである。
          (2) この観点からみた場合、本件抗議活動に対する警備とその規制は、以下にみるとおり明らかに過剰であり、2012年以来行われてきた規制をも著しく上回るものであるから、必要最小限度の規制とはいえない。
           ,垢覆錣繊警察は、抗議エリアとなった国会正門前交差点周辺の歩道と車道の間に「鉄柵」をもうけ、歩道上で抗議する参加者を「檻」の中に囲った。「鉄柵」には警察官が何重にも並んで参加者を威圧した。仮に「鉄柵」は参加者が車道に出ないようにする趣旨だとしても、鉄柵の使用は参加者を「檻」に閉じ込め、威嚇するものであり、参加者の表現行為を著しく制限・制圧するものである。
            鉄柵については、2012年8月にも有志弁護士によって抗議の対象になっている。本件においても、その必要性が疑わしい。
          ◆,泙拭∧眛擦瞭眤Δ砲魯ラーコーンにより「通路」が設けられた。7月15日の段階で警察官は歩道と車道の間に設けられた鉄柵の外にいたが、16日には「通路の確保のため」と称して鉄柵の内側に並び、参加者を威嚇した。2012年以来行われてきた抗議においても、歩道内に警察官が並ぶということはなかった。これは明らかな過剰な警備である。
            7月17日と24日には、参加者の列を輪切りにするように鉄柵をもうけられた。これは参加者をそれ以上国会に近づけないための措置と思われるが、抗議スペースを狭くして参加者を圧迫する過剰警備であり、その後主催者側の抗議で撤廃されたことからも明らかであるとおり、何の必要性、合理性もないものである。
            さらに、7月24日には、「通路確保のため」と称して鉄柵の内側に、さらに鉄柵で囲まれた「スペース」を作った。これは、抗議スペースを狭くし、参加者を圧迫するものであり、何の合理性もない明らかな過剰警備であった。
           国会正門前交差点の横断歩道は、毎回抗議が始まると同時に鉄柵で閉鎖された。このため、国会正門前交差点南庭側には横断歩道の周辺に鉄柵でスペースを作り、横断歩道には近寄ることもできなくなった。財務省上交差点から国会正門前交差点北庭に向かうルートが閉ざされ、財務省坂上から国会にむかう人は「国会前交差点」方向に迂回することを余儀なくされた。また、国会正門前北庭から南庭への横断も規制され、北庭の歩道に人が溢れて危険な状態になった。
            2012年来行われてきた抗議等の活動においても、国会正門前交差点の横断歩道はしばしば閉鎖された。しかし、それは歩道に人が溢れ危険が増した場合に限定されており、人が少なくなれば直ちに解除された。抗議中一律に歩道を閉鎖することには合理性がなく、過剰な規制である。
          ぁ,気蕕法■祁遑横監には、国会前交差点南庭側から北庭側に渡る横断歩道が20分間ほど閉鎖され、財務省上交差点から来た人々が困惑するという場面があった。人々はいらだちを警察官にぶつけたため、一触即発となって小競り合いが生じた。その結果、同日にはこの付近で逮捕者も出ている。
          主催者側の抗議でこの閉鎖が解消されると、警察官らは、今度は有楽町線桜田門駅から国会北庭側に向かうルートを閉鎖し、駅から国会に向かう人々に対して憲政会館方向への迂回を命じた。これに対し、主催者側が国会正門方向への誘導を試みたため大混乱が生じた。ここでは、警察が空きスペースがあるにもかかわらず反対方向に誘導するため、多くの参加者は「ニセの誘導をされた」「嘘をつかれた」と認識しており、それゆえに混乱が深刻なものになったのである。
            国会前交差点が閉鎖されるという事態は2012年以来一度もなかった。この際、横断歩道北庭側には十分なスペースがあり、歩道を閉鎖する必要性は乏しかった。このことは主催者側の抗議によって撤廃されたことからしても明らかで、異常かつ非常識な過剰規制であった。
            また、国会正門方向にも十分な空きスペースがあったことから、有楽町線桜田門駅から国会に向かうルートを閉鎖したり、憲政会館方向への迂回を命じる必要もなかった。警察が、そのような規制をし、主催者側が国会正門方向への誘導を試みたためかえって大混乱が生じ、危険が広がったのである。このようなことがないように、実際にスペースがない場合をのぞいて参加者に無駄な遠回りを強いることのないようにするべきである。
          (3) そもそも、現場の状況からは、歩道の中の鉄柵などは通路を異常に狭くしており、歩行する参加者が鉄柵に当たり怪我をする可能性も多いにあるし、不必要な、あるいは誤った誘導により、多数の集会参加者が混乱かつ苛立ち、人の流れを妨げ、狭い場所に大勢の参加者が押し込められるなどしており、むしろ警備により危険な状態が作出されているのである。このような警備は、参加者の身体の安全に資していないのであるから、警察法2条の個人の身体の保護目的からも逸脱している。このように、警察法の趣旨に反する行き過ぎた規制は、参加者らからは、集会たる表現行為を抑圧しようという意図に基づくものではないかとの疑念すら上がっており、警察の中立性を毀損する結果を招いている。
          (4) なお、警察は過剰な警備を行う一方で、要保護者に対する必要な保護には欠くところがあった。
            24日、国会前南庭側に4名の視覚障害者が永田町方面に帰るためスタッフが警察に誘導を依頼する場面があった。この場合、視覚障害者については規制を解くべきであったが、そのような対応はなされなかった。
          (5) なお、日本弁護士連合会は、本年3月11日、警察がデモ行進を分断させる措置をとり,更には,デモ行進について,その周囲を取り巻く等のいわゆるサンドイッチ規制が行われた事例で人権救済が申し立てられた事案(日弁連総第117号)について「このような状態の中で,デモ行進が分断され,また参加者と沿道の公衆の分断が図られ,沿道の公衆にはデモ行進の主張が十分に伝わらず,また,そのものものしい警備によって,沿道の公衆には本件デモに対する畏怖心や警戒心すら抱かせるおそれがあった。更には,デモ参加者が集団から離脱することさえも困難な状況となったと判断できる。」「前記認定のような規制行動をとることは,デモ参加者以外の者の通行の安全の確保等という警備の目的との関係において,著しく均衡を欠いていると判断でき,本件警備は過剰であった。したがって,本件警備は過剰であり,憲法上の立憲主義の要請としての比例原則に著しく反し,申立人らの表現の自由を侵害したと判断せざるをえない」と判断していることも参照されるべきである。
          (6) 以上のとおり、本件抗議活動に対する規制は、2012年以来行われてきた規制と比較しても著しく過剰であり、一部の規制は抗議によって撤廃されたことからからも明らかであるとおり、必要最小限度とはいえないものである。そればかりか、過剰な規制によって多数の集会参加者が混乱し、かえって人の流れを妨げ、危険な状態が作出されるに至ってすらいる。そうすると、本件抗議活動に対する規制は、憲法21条1項、警察法2条2項に違反して、違憲・違法であった。
            そこで、申入の趣旨第1のとおり、国会、官邸周辺の警備については、抗議活動等に参加する市民の表現の自由の不当な制約に当たらぬよう必要最小限度の規制に限定するよう、申し入れるものである。
           
          2 必要な規制については事前に主催者側に提示して了承を得るとともに、警察官らに周知徹底させる必要があること
          (1) 本件抗議は数万人規模の人々が参加しており、時間帯も夜に及ぶことから、雑踏による混乱、多くの人々が集中することによる群集事故・雑踏事故を防ぐ必要性があることは否定しない。しかし、本件の問題は、そのような雑踏警備であっても、その規制内容が主催者側の同意なく一方的に行われるため、参加者の反発を招き、かえって混乱を引き起こしていることである。
          (2) 例えば、7月24日に国会前交差点南庭側が封鎖された際、現場には30名ほどの参加者とほぼ同数の警察官が相対していたが、財務省坂交差点から誘導されてきた参加者らは警察の対応に苛立っており、先に進もうとする参加者を力ずくで止めようとする警察官との間で、双方体を押し合う小競り合いが発生していた。参加者が苛立つ原因は、横断歩道反対側には十分なスペースがあり、規制は不要でないかと思われることや、警察の規制が事前に知らされておらず、かつ警察官が威圧的な態度で一方的に規制を命じることに反発したためである。警察官の中には、指揮棒と称する白い警棒用のものを(犬を追い回すように)振り回して参加者を挑発する者もおり、その態度は混乱に拍車をかけていた。
            また、この直後、警察官が、有楽町線桜田門駅から国会正門方向に向かう人々に対して憲政会館方向への迂回を命じると、主催者側が、逆に、国会正門方面への誘導を試みたため混乱に拍車がかかった。
            このような混乱を避けるためには、前記のとおり参加者に無駄な遠回りを強いることのないようにするべきことに加え、警察が事前に規制内容を主催者側に通知し同意を得ておくこと、参加者の誘導はできるだけ雑踏警備を行う警察ではなく、抗議活動を運営している主催者側に委ねることである。実際、17日には主催者側が国会正門前歩道の通路確保を行い、参加者の協力を円滑に得ることができた例がある。
          (3) さらに、規制については警備に参加する警察官らに周知徹底させ、現場判断で勝手な規制を設けないことも重要である。
            既に述べたとおり、7月17日と24日には、警察は、参加者の列の間に鉄柵をもうけて区切ったが、主催者側の抗議で撤廃された。また、上記のとおり、7月24日には、「国会前」交差点南庭側から北庭側に渡る横断歩道が閉鎖されたが、主催者側の抗議で20分ほどで解消されている。これらの抗議について、現場の警察官らは、「上の指示だ」と説明していたが、その後「上の指示」で解消されているのであるから、現場の判断で勝手に行われた規制であるか、そうでなければ、警備担当者の指揮命令系統が混乱している可能性がある。
            そこで、このような混乱を防ぐためには、警視庁及び所轄警察署において主催者側と規制内容を打ち合わせし、これを警察官らにも周知徹底し、現場の判断でむやみに変更しないことが必要なのである。
          (4) 以上のとおりであるから、申入の趣旨第2のとおり、必要な規制を行う場合には、集会の主催者に事前に規制計画を示して了解を得るものとし、当該計画は現場の全ての警察官に周知徹底するよう、申し入れるものである。
           
          3 抗議参加者に対するビデオ・写真による撮影は肖像権・人格権の侵害であること
           
          (1) 本件抗議活動に対して、警察当局が、参加者をカメラやビデオで撮影している場面が何度も目撃されている。
            しかし、前記のとおり、本件抗議に対する警備の根拠が2条1項にあり、その目的が国民の生命身体の安全保護にある以上、参加者への撮影行為は全く不要であり、同条2項に違反する。
          (2) また、最高裁昭和44年12月24日判決は「警察官による個人の容ぼう等の写真撮影は、現に犯罪が行われもしくは行われたのち間がないと認められる場合であって、証拠保全の必要性および緊急性があり、その撮影が一般的に許容される限度をこえない相当な方法をもつて行われるとき」は違法でないとするから、この要件に照らせば、本件では、かかる撮影自体が違法であるというほかない。
          (3) さらに、警察によるビデオ撮影は、その行為によって、本件官邸前抗議行動に参加する者に対し、威圧的効果を持つものであって、表現の自由に対する侵害としての意味も有する。とりわけ、本件抗議活動には、大学生やそれ以下の若い人たちが多く参加しているところ、学生については、「デモの参加は就職に影響するのではないか」等の疑わしい情報が出回っている(朝日新聞朝刊本年7月30日記事参照)。これらの事情に照らせば、警察による個人情報の収集(個人の容貌の撮影)はデモや集会への参加それ自体への障害になり、国民の権利行使の妨げとなる。
          (4) 加えて、写真等撮影をする公安担当者の中には、写真撮影をやめるように申し入れた弁護士に対し、「なぜ写真撮影をしてはダメなのだ」、「法的根拠を示せ」などと言い放つ、上記最高裁判例を知らない者すらいるのであって、驚愕すべき事態である。そして、何度注意しても、それでも主催者たちが多く集まるメインステージに向けて、しつこく撮影している者もおり、集会主催者に対し、このような集会をすべきでないと威嚇するつもりか、あるいは、それらの者に対し違法な身辺調査をする目的があるとしか思えないものすらある。
          (5) 以上のとおりであるから、申入の趣旨第3のとおり、抗議参加者に対するビデオ・写真による撮影は肖像権・人格権の侵害であるから、絶対に行わぬよう、申し入れるものである。
          以上
          2015年8月14日
          安倍政権NO!☆実行委員会
          官邸前見守り弁護団  
           
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            3月20日発生の官邸前のヘイトクライムについて

            • 2015.04.30 Thursday
            • 12:33
             3月20日官邸前で抗議参加者に「朝鮮人」などと叫び投石する等したヘイトクライム事件について、官邸前弁護団は、4月15日、加害者を雇用する帝都自動車交通株式会社に抗議の文書を送りましたが、4月22日付けで、同社より、以下の回答書が届きました。

            「2015年3月20日の国会記者会館駐車場における弊社乗務員の言動につきましては、調査の結果不適切な言動があったことがことが認められましたので、当該乗務員に対して弊社就業規則に基づく懲戒処分を行い、解雇しております。今回のことにつきましては、被害者の方々にお詫び申しあげます。弊社は、改めて乗務員の教育を徹底し、再発防止に努めてまいります。」
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              官邸前におけるヘイトクライムに関する要求書

              • 2015.04.15 Wednesday
              • 17:18
              ご通知
              冠省
              当職らは、(以下、通知人らといいます)の代理人として貴社に対しご通知します。
              本年3月20日、通知人らは、首都圏反原発連合が主催する「再稼働反対!首相官邸前抗議」に参加していましたが、通知人Aは、同日午後6時55分頃、記者会館駐車場に停車していた貴社所有のハイヤー(品川300あ8310)の運転席に乗車していた貴社従業員である運転手から投石を受け、同人が投げた石は通知人Aの脚に当たりました。運転手が投げた石は、一辺が10センチ近くある四角い大きなものであり、この投石行為は、当たり所によっては、通知人Aに重大な傷害を負わせかねない危険な行為でした。しかも、運転手は、通知人Aに対して中指をたてニヤニヤしながら「朝鮮人!プロ市民!」と嘲っております。さらに、通知人Bがハイヤーのナンバーを記録するため車の前面にしゃがみ込んだところ、運転手は、そのことを知りながら車を急発進しようと試みて、二度に渡り車を前進させ、二回目には通知人Bの顔5センチのところまで車を進めるという、極めて危険な行為を行いました。
              以上のとおり、貴社の運転手が行った行為は、極めて危険かつ悪質な行為であり、刑法上暴行罪(刑法208条)として処罰されるべきであるほか、民法上も不法行為(民法709条)として賠償義務を負うべきものです。加えて、運転手が「朝鮮人!」などと叫んでいたことに鑑みれば、本件は人種差別的動機に基づくものであり、人種差別撤廃条約の適用により、賠償金額としても通常の場合より加算されるとするのが現在の判例の立場であります(京都朝鮮学校事件に関する大阪高裁平成26年7月8日判決参照)。
              本件は貴社従業員が業務中に犯した犯罪であり、貴社は、運転手の犯罪行為について道義的責任を免れません。そればかりではなく、とりわけ運転手が通知人Bに対して行った暴行については、車両の運行という貴社の業務の執行と密接に関連するものですから、民法715条1項(使用者責任)の適用により、貴社は運転手と連帯して賠償責任を負うものと解されます(最高裁昭和44年11月18日判決民集23巻11号2079頁参照)
              そこで、通知人らは、本状により、貴社に対して、責任ある立場からの直接の謝罪、及び再発防止措置の表明を求めるものであります。本状到達後1週間以内に書面にて回答ください。
              なお、当職は、本件について受任しましたので、本件については、代理人(担当 神原)まで連絡下さるよう、お願い致します。
              草々
              2015年4月15日
               
              通知人 A
              通知人 B
              通知人代理人 弁護士 神原元(官邸前見守り弁護団)
              〒211−0004 川崎市中原区新丸子東2−895 武蔵小杉ATビル505号室
              武蔵小杉合同法律事務所
              電話 044−431−3541
               
              通知人代理人 弁護士 原田學植
              〒105−0001東京都港区虎ノ門5丁目1番5号メトロシティ神谷町5階
              東京神谷町綜合法律事務所
               
              被通知人 帝都自動車交通株式会社 代表取締役 短凖帖〃鯒遏‥
              〒135−0048 東京都江東区門前仲町2−8−9
               
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                官邸前見守り弁護団1周年シンポジウム「抗議行動という市民の権利の見守り方」

                • 2013.07.05 Friday
                • 12:00
                官邸前見守り弁護団1周年シンポジウム「抗議行動という市民の権利の見守り方」


                官邸前見守り弁護団1周年シンポジウム 
                「抗議行動という市民の権利の見守り方」

                日時:
                7月12日(金)15:00〜17:30

                場所:
                衆議院第二議員会館1階多目的会議室

                定員:
                140名

                備考:
                無料、どなたでも入れます。申込み不要。
                当日は14:30から衆議院第二議員会館1階で通行証を配布します。

                進行:
                第1部 15:00〜16:00
                官邸前見守り弁護団1年間の振り返り 
                見守り弁護団結成と抗議声明 河崎健一郎
                日比谷公園の使用許可を巡る攻防 小島延夫
                見守り弁護団の現在 島昭宏 
                第2部 16:00〜17:30
                パネルディスカッション  
                登壇者 ミサオ・レッドウルフ/反原連・官邸前行動主催者/神原元弁護士/小島延夫弁護士 ほか 
                司会 河崎健一郎弁護士・マエキタミヤコ
                なお、来場の参加者の方々にも適宜ご発言いただけます。 

                主催:
                官邸前見守り弁護団結成1周年企画実行委員会
                http://mimamori-ben.jugem.jp/

                お問い合せ:
                官邸前見守り弁護団事務局
                090-2215−8540
                info@sustena.org
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                  我々は見守り続ける

                  • 2013.06.03 Monday
                  • 18:00
                  熱気は冷めたように見える。

                  2012年夏、日本の市民運動に新たな1ページを刻んだ首相官邸前抗議行動は、一時はそのままの勢いで、かつてない果実を社会にもたらすようにも思われた。
                  「見守り弁護団」は、その流れが不当な権力の介入に晒されることなく、辿り着くべきところに辿り着くよう、ただそれを見守るために結成された。
                  しかし、変革の奔流はただ時間とともに勢いを失い、今や風前の灯となった。
                  権力にとってそれは恐れるに足りないほどの抗いに過ぎず、今や我々が見守るべきものは失われてしまったようにも思われる。

                  しかし、だ。
                  その小さな灯火は、この寒い冬を乗り越え、未だ消え去ることなくそこに確かに存在している。金曜午後の小さな習慣として、ごく日常の一こまとして、あるいは消え失せてしまうことを断固拒否する意思の象徴として。
                  そして、以前ほどの喧騒を失った首相官邸前の「再稼動反対」の声を耳にして、我々は思う。
                  ここにこそ、長い間捜し求めていた本当の民主主義の萌芽を見出せるのではないか、と。
                  この小さな芽が踏み潰されることこそ、最も恐れるべきことなのではないか、と。

                  ここに至り我々は、官邸前に集う市民に寄り添い続けることこそが、使命であることを自覚した。
                  市民とともに冬を乗り越えた我々弁護団は、今後も彼等がそこに集う限り、見守りを継続することを決意した。

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                    1/21憲法研究者有志の声明

                    • 2013.01.25 Friday
                    • 17:15
                     2012年12月28日になされた大阪地検による起訴(公訴事実は同年10月17日午後にJR大阪駅構内で威力を用いて駅員の警備・警戒の業務を妨害したというもの)について、憲法研究者有志が声明を発表しました。
                     龍谷大学法科大学院の石埼学教授から許諾を受けたので掲載します。
                    官邸前見守り弁護団 河 健一郎

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                    JR大阪駅前広場での宣伝活動に関する起訴の取消しを求める憲法研究者声明

                    1 声明の趣旨
                     私たちは、2012年12月17日発表の「JR大阪駅頭における宣伝活動に対する威力業務妨害罪等の適用に抗議する憲法研究者声明」の呼びかけ人等です。
                     その後、12月28日、大阪地検は、逮捕された3名のうち2名を「処分保留」とし釈放しました。しかし私たちは、1名(H氏)を威力業務妨害罪(刑法234条)で起訴したことについて納得ができません。そこで再度声明を発表し、大阪地検に対して起訴の取消し(刑事訴訟法257条)を求めます。

                    2 H氏の公訴事実について
                     H氏は、2012年10月17日の午後3時ころより約1時間程度の間、JR大阪駅前の「東広場」において、H氏を含む約40名の市民が震災瓦礫処理に関連する宣伝活動を行った際に、公道との境のないJR大阪駅の敷地内に立ち入り、ビラを無許可で配布したことなどを駅係員に制止されたことに対して、大声で抗議し、駅係員の足を踏んだとされています。このようなH氏の行動が、駅係員の警備活動という業務を妨害した威力業務妨害罪に当たるとされて、起訴が行われました。
                     私たちは、たとえH氏が行ったとされていることを前提にしたとしても、それらは決して威力業務妨害罪を成立させる行為ではなく、大阪地検は、起訴を取消すべきだと考えます。その理由を以下で述べます。

                    3 H氏の言動がなされた場所について
                     H氏を含む約40名の市民が宣伝活動をした場所は、JR大阪駅御堂筋コンコース北口のガラス製の扉の外および同中央コンコース東口のガラス製の扉の外にある広場です。現場にある「大阪ターミナルビル(株)」名義の「ご注意」との掲示には「東広場」と書かれています。確かにこの掲示には、禁止事項として「許可を受けず集会、演奏活動等を行うこと」、「許可を受けずポスター、ビラ等を掲示・配布・貼付等すること」が明記されています。しかし、柵等の何らの境界もなくこの「東広場」に隣接する公道では、日頃から演奏活動等がなされ、「東広場」内に数十名の聴衆が集まることも稀ではありません。

                    4 H氏の言動は威力業務妨害罪に該当しない。
                     以上の現場の特性を踏まえると、禁止事項が明示されていたということのみで、JR大阪駅係員に、宣伝活動等を禁ずる正当な権限があったとは考えられません。したがって、JR大阪駅やそれと不可分の商業施設の利用者等の交通を著しく妨げる態様であった等の特段の事情のない限り、そもそも駅係員の制止等は法令に基づく正当な業務ではないと考えられます。日頃からなされている演奏活動等については何ら問題視せず、H氏らの宣伝活動のみを殊更に問題視していることからは、H氏らの宣伝活動の態様ではなく内容を問題視したとの疑問が払拭できません。
                     一応、駅係員の業務の根拠となりうる法律がふたつあります。ひとつは鉄道営業法です。同法42条は、同法35条で「鉄道係員ノ許諾」を得ないで「鉄道地」内でなすことを禁止された行為(寄付の要請、物品販売、物品配布、演説勧誘行為等)をなした者を「鉄道地外ニ退去」させる権限を鉄道係員に付与しています。しかし、「鉄道地」とは、最高裁の判例によれば「鉄道の営業主体が所有又は管理する用地・地域のうち、直接鉄道運送業務に使用されるもの及びこれと密接不可分の利用関係にあるもの」(昭和59年12月18日判決)です。この判例に照らしてJR大阪駅「東広場」は「鉄道地」ではないと評価できますので、駅係員に鉄道営業法42条に基づく退去要請の権限があったとは考えられません。ふたつ目は、刑法130条に基づくJR大阪駅の管理権者の施設の管理権の行使です。しかしこの管理権を行使できる場所は「人の看守する」「建造物」であり、「東広場」は上部に屋根があるので仮に建造物の一部であったとしても「看守」していたとは評価できません。JR大阪駅の北東角の部分で「看守」していたと評価できるのは、先に述べたコンコースの内外を仕切るガラス製の扉の内側です。また日頃から演奏活動等が隣接する公道でなされ、数十名の聴衆が集まることがあったにもかかわらず、そうした表現活動にはJR大阪駅は何ら管理権を行使していないことからも「看守」していなかったと考えられます。
                     次にH氏の駅係員に対する抗議ですが、対応した駅係員においては、犯罪と思料するのであれば警察官を呼ぶ、私人逮捕する、宣伝活動の責任者と話し合う等、いくつもの選択肢があったのであって、その自由意思を制圧されたともそのおそれが実質的にあったとも評価しえません。したがって、H氏の言動が刑法234条の「威力」に該当するとは到底評価し得ません。

                    5 パブリック・フォーラムである
                     「東広場」は、かりに鉄道営業法のいう「鉄道地」あるいは刑法130条のいう「人の看守する」「建造物」に該当するとしても、前述の通りの特徴を有し、公共性が極めて高い場所です。すなわち、「東広場」は、鉄道会社という民間会社の所有地あるいは管理地であったとしても、JR大阪駅だけではなく、隣接する各種の商業施設、大阪市営地下鉄等の利用者も自由に通行すべき場として公道に準じる場所であり、従前から表現活動の場として利用されてきた経緯を考えると、「パブリック・フォーラム」であると評価できるのです。このような公共性の強い場所においては、かりにJR大阪駅の管理権等の及ぶ場所であっても、憲法21条1項の保障する表現の自由を優先させるべきです。このような場所でなされた宣伝活動に対する駅係員の制止等にH氏が抗議したのは憲法の観点からは全く正当と評価できます。かりに威力業務妨害罪の構成要件を充たしていたとしても、正当な宣伝活動に対する駅係員による急迫不正な侵害から自己や宣伝活動に参加していた他の者の権利を防衛するためにやむを得ずした「正当防衛」(刑法36条)であり、犯罪として成立するものではありません。
                     H氏らのした宣伝活動は、パブリック・フォーラムにおける正当な表現活動であり、それに対する不当な制止に対して正当な抗議をしたH氏の行為を問題視して起訴し、同氏に応訴を強いるのは、表現の自由に対してあまりに過酷な負担を強いるものです。このような起訴が許されるのであれば、多くの市民は、委縮し、正当な表現行為を差し控えることになってしまうでしょう。したがって私たちは、憲法研究者として今回のH氏の起訴を許容できないと言わざるを得ません。以上の理由から、私たちは、大阪地検に対し、本件の起訴を取消すことを強く要望します。

                    2013年1月21日

                    石川裕一郎(聖学院大学政治経済学部准教授)、石埼学(龍谷大学法科大学院教授)、岡田健一郎(高知大学人文学部専任講師)、笹沼弘志(静岡大学人文学部教授)、中川律(宮崎大学教育文化学部専任講師)、成澤孝人(信州大学法科大学院教授)

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                      12/17憲法研究者有志の声明

                      • 2012.12.18 Tuesday
                      • 00:33
                       2012年12月9日になされた大阪府警による逮捕(逮捕事実は同年10月17日午後にJR大阪駅構内で大阪市による震災がれきの受入れに抗議するデモ行進を無断で行ったというもの)について、日本全国の憲法研究者有志が声明を発表しました。
                       呼びかけ人の一人である龍谷大学法科大学院の石埼学教授から許諾を受けたので掲載します。
                      官邸前見守り弁護団 河 健一郎

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                      JR大阪駅頭における宣伝活動に対する威力業務妨害罪等の適用に抗議する憲法研究者声明

                       2012年12月9日、大阪府警警備部などは、同年10月17日のJR大阪駅駅頭で「震災瓦礫」の受入に反対する宣伝活動(以下、「本件宣伝活動」とする。)を行った下地真樹氏(阪南大学准教授)らを、威力業務妨害罪(刑法234条)および不退去罪(刑法130条後段)で逮捕しました。私たちは、日本国憲法の研究者として、本件逮捕は、憲法21条1項の保障する表現の自由を不当に侵害するものであると考えます。
                       本件宣伝活動は、ハンドマイク等を用いて、駅頭で、大阪市の瓦礫処理に関する自らの政治的見解を通行人に伝えるものであって、憲法上強く保護されるべき表現活動です。また本件宣伝活動が行われた場所が、かりにJR大阪駅構内であったとしても、駅の改札口付近等通行人の妨げになるような場所ではなく、せいぜい同駅の敷地内であるにすぎず、公道との区別も判然としない場所です。このような場所は、伝統的に表現活動の場として用いられてきたパブリック・フォーラムに該当すると考えられ、施設管理者の管理権は、憲法21条1項の前に、強く制約されるはずです。
                       そうであるとすると、本件表現活動に対し、威力業務妨害罪や不退去罪を適用することができるのは、当該活動によって相当の害悪が発生している場合でなければなりませんし、たとえそのような解釈をとらないとしても、少なくとも、害悪発生のおそれが実質的に存在することが必要なはずです。本件は、通行する市民に対して、穏健な方法で瓦礫処理に関する自らの政治的主張を訴えかけるものであり、このような表現活動から、刑罰に値するだけの相当の害悪が発生し、または、そのような害悪が発生する実質的なおそれが存在しているとは考えにくいと思われます。
                       また、下地氏らは、本件宣伝活動終了後、大阪市役所に行くために、JR大阪駅の東側のコンコースを通過しました。この行為も、同コンコース内で立ち止まって宣伝活動をするといった態様のものではなく、単に、他の人と同様に、移動のためにコンコースを利用したにとどまります。そもそも同コンコースも、駅構内とはいえ、本件宣伝活動が行われた駅頭と同様に公道とほぼ同視できる場所だと考えます。この移動のためのコンコース利用によって威力業務妨害罪ないし不退去罪が成立するとは考えられません。
                       下地氏らが、大阪市の瓦礫処理問題で活発に活動していたことは周知の通りです。政治的問題は、民主主義によって決着がつけられるべきですが、その前提として、表現の自由が十分に保障されなければなりません。前述のとおり、本件行為に表現の自由の保障が及び、その制約を正当化するだけの実質的な理由が存在しないとすれば、本件逮捕は、下地氏らの政治的主張を狙い撃ちにしたのではないかという懸念を感じざるを得ません。
                       市民の正当な言論活動に対し、刑罰権が恣意的に発動されるならば、一般市民は萎縮し、政治的な活動を差し控えるようになります。そうなると、民主的な議論の結果も歪められることにならざるをえません。表現の自由は、そのような結果を防止するためにこそ存在するのであり、したがって、刑罰権発動には最大限の慎重さが求められるはずです。
                       以上のように、本件逮捕は、憲法上強く保障された表現の自由を不当に侵害し、市民の表現活動を幅広く規制対象にする結果をもたらし、ひいては自由な意見交換に支えられるべき議会制民主主義の過程を深刻に害するものであって、憲法上許容されないと私たちは考えます。私たちは、大阪府警による下地氏らの逮捕に強く抗議するとともに、かれらの即時釈放を要求します。

                      2012年12月17日

                      <呼びかけ人>
                      石川裕一郎(聖学院大学)、石埼学(龍谷大学)、岡田健一郎(高知大学)、中川律(宮崎大学)、成澤孝人(信州大学)

                      <賛同者>
                      愛敬浩二(名古屋大学)、青井未帆(学習院大学)、足立英郎(大阪電気通信大学)、飯島滋明(名古屋学院大学)、井口秀作(愛媛大学)、井端正幸(沖縄国際大学)、植木淳(北九州市立大学)、植松健一(立命館大学)、植村勝慶(國學院大學)、内野正幸(中央大学)、浦田一郎(明治大学)、浦田賢治(早稲田大学名誉教授)、榎澤幸広(名古屋学院大学)、遠藤比呂通(弁護士)、遠藤美奈(西南学院大学)、大久保史郎(立命館大学)、大野友也(鹿児島大学)、大藤紀子(獨協大学)、奥田喜道(跡見学園女子大学)、小沢隆一(東京慈恵会医科大学)、押久保倫夫(東海大学)、金澤孝(早稲田大学)、上脇博之(神戸学院大学)、君島東彦(立命館大学)、小竹聡(拓殖大学)、小松浩(立命館大学)、齊藤笑美子(茨城大学)、斎藤一久(東京学芸大学)、斉藤小百合(恵泉女学園大学)、阪口正二郎(一橋大学)、笹沼弘志(静岡大学)、佐藤潤一(大阪産業大学)、志田陽子(武蔵野美術大学)、菅原真(名古屋市立大学)、高作正博(関西大学)、高橋利安(広島修道大学)、多田一路(立命館大学)、只野雅人(一橋大学)、玉蟲由樹(福岡大学)、塚田哲之(神戸学院大学)、寺川史朗(龍谷大学)、中里見博(徳島大学)、永田秀樹(関西学院大学)、長峯信彦(愛知大学)、永山茂樹(東海大学)、成嶋隆(新潟大学)、丹羽徹(大阪経済法科大学)、福嶋敏明(神戸学院大学)、前原清隆(日本福祉大学)、牧本公明(松山大学)、松原幸恵(山口大学)、水島朝穂(早稲田大学)、三輪隆(埼玉大学)、村田尚紀(関西大学)、本秀紀(名古屋大学)、元山健(龍谷大学)、森英樹(名古屋大学名誉教授)、柳井健一(関西学院大学)、山内敏弘(一橋大学名誉教授)、和田進(神戸大学)、渡辺治(一橋大学名誉教授)、渡辺洋(神戸学院大学)
                      以上、62名。呼びかけ人と合わせて67名。
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