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    11/5即時抗告棄却決定

    • 2012.11.05 Monday
    • 23:46
     東京高等裁判所第7民事部は、弁護団の即時抗告を棄却しました。


    ***


    平成24年(行ス)第58号仮の義務付けの申立却下決定に対する抗告事件
    (原審・東京地方裁判所平成24年(行ク)第395号)

    決 定

    当事者の表示 別紙当事者目録記載のとおり

    主 文
     本件抗告を棄却する。
     抗告費用は抗告人の負担とする。

    理 由

    第1 抗告の趣旨及び理由
     本件抗告の趣旨及び理由は,別紙「即時抗告申立書」及び「抗告理由書」記載のとおりである。

    第2 事案の概要
    1 本件は,首都圏において原子力発電所の再稼働の反対等を訴える集団行進又は集団示威行動を主催する集団や個人の連絡組織である「首都圏反原発連合」も(以下「本件連合」という。)の一員であると主張する抗告人(原審申立人)が,東京都が設置する都市公園である日比谷公園(以下「本件公園」という。)から国会周辺まで脱原発を訴える集団示威運動としてのデモ行進(以下「本件デモ」という。)を行うことを企画し,本件デモの主催者として,東京都立公園条例(昭和31年東京都条例第107号。以下「公園条例」という。) 1 3条1項に基づき,平成24年10月26日,処分行政庁に対し,本件公圏内の霞門とその周辺(以下「本件申請部分」という。)を本件デモ出発のために同年11月11日午後1時から3時までの間一時的に使用することの承認を求める許可申請(以下「本件申請」という。)をしたところ,処分行政庁が,同月3 1日,公園管理上の支障となるため許可しない旨の処分(以下「本件処分」という。)をしたため,抗告人が本件処分の取消し及び本件申請に係る許可(以下「本件許可」という。)の義務付けを求める訴え(東京地方裁判所平成24年(行ウ)第754号。以下この義務付けを求める訴えを「本件義務付けの訴え」という。)を提起するとともに,仮の義務付けを求める申立て(以下「本件申立て」という。)をした事案である。
    2 原裁判所は,本件処分が取り消されるべきものであることについての疎明がないから,本件申立てについては,行政事件訴訟法37条の5第1項の「本案について理由があるとみえるとき」 の要件が満たされていないとして,これを却下する決定をした。
     抗告人は,これを不服として抗告した。

    第3 当裁判所の判断
    1 疎明事実
     一件記録によれば,以下の各事実が一応認められる。
    (1) 当事者等
    ア 抗告人は,東京都の住民であり,平成23年9月に成立し、数次にわたり,原子力発電所の再稼働等の反対を政府等に訴える集団行進又は集団示威運動を主催してきた本件連合に所属しており,本件デモの主催者となったと主張している者である。(疎甲2,3)
    イ 処分行政庁は,東京都公園緑地事務所長委任規則(昭和47年東京都規則第171号) 2項(3)号,東京都組織規程(昭和27年東京都規則第164号)別表三の8(3)に基づき,本件公園につき,東京都知事から公園条例13条所定の物件を設けない都市公園の占用許可権限の委任を受けている。(疎乙4,5)
    ウ 公益財団法人東京都公園協会は,平成21年4月1日に東京都から地方自治法244条の2に基づく指定を受け,本件公圏内に日比谷公園サービスセンター(以下「本件センター」という。)を設置して,本件公園の管理を行っている。(疎乙9)
    (2) 本件処分に至る経緯及び本件処分
    ア 本件連合は,本件申請より前に,(神24年3月11日には「3.1 1東京大行進一追悼と脱原発への誓いを新たにー」との名称で,同年7月29日には「7.2 9脱原発国会大包囲」との名称で,それぞれ大規模なデモを主催し実行した。これらのデモの参加者数は,警察発表で,,砲弔7000人,△砲弔2万7000人程度であった。(疎甲2,6,9)
    イ 本件連合の代表者は,日比谷公園サービスセンター長(以下「本件センター長」という。)に対し,,離妊發砲弔い董に楫鏝園の中幸門につき一時使用したい旨の公園地一時使用届出書を提出し,△離妊發砲弔い討癲な神24年4月23日,参加人数約1000人でデモ行進出発のため,同年7月29日午後3時から午後3時30分までの間,本件公園の中幸門につき一時使用したい旨の公園地一時使用届出書(疎甲7)を提出していた。
     そして,東京都公安委員会に対し,,離妊發砲弔い討脇映2月28日,参加予定人数を1000人,集合場所を本件公園中幸門とするなどと記載した集団示威運動許可申請書を,△離妊發砲弔い討脇映7月23日,東京都公安委員会に対し,参加予定人数を1万人,集合場所を本件公園中幸円とするなどと記載した集団示威運動許可申請書を,それぞれ提出し,いずれのデモについても,一定の条件が付されてはいるものの,東京都公安委員会から集団示威運動の許可を受けていた。(疎甲2ないし疎甲8の2)
    ウ △離妊發坊犬觚園地一時使用届出書(疎甲7) の「日時」欄には不動文字で「*集合から出発終了まで30分以内とすること。」「*大音楽堂・公会堂を使用する大規模な出発の場合は別途協議する。」 と記載されていたほか「備考」欄の下にも不動文字で「大音楽堂・公会堂以外の公園地での集会はできません。」と記載されていた。そして,本件連合が本件センターに対し届け出た△離妊發坊犬觸弦膸間は午後3時30分から午後4時まで(当初は午後3時から午後3時30分までであったが,変更申出により変更された。),参加予定人数は約1000人であったが,平成24年7月29日当日は午後2時ころから参加者が集まりはじめ,結果的には1万人以上(主催者側の本件センターに対する説明だと1万3000人)が集まり,デモの出発が始まったのは届出時間より30分遅れの同日午後4時であり,最後尾が本件公園を出発したのは同日午後6時10分であった。
     この間,デモ参加者が, 日比谷図書館文化館正面入り口わきの園路上にビールケースを複数かぶせた仮設の演壇を設営し始めたので,本件センターの係員が集会は認められていないことを伝え,撤去するよう指導したが,デモ参加者らはこれを無視し, 日比谷図書館文化館長が主催者側に直接抗議をした後も設営は続行された。同日午後3時から演壇を利用した主催者挨拶が始まり,著名人などが次々と演説を始めたため,本格的な集会となり, 日比谷図書館文化館から日比谷公会堂の聞の園路は人で埋まり,一般来園者の園路の通行が困難になった。また, 日比谷公会堂の施設西側の階段にデモ参加者が座り込むなどしたため,日比谷公会堂の催事の参加者が退場するための通路を確保することができなくなった。(疎甲7,23,疎乙12,13)
    エ 本件連合は,上記△離妊發猟掌紊任△詈神24年8月頃から,同年11月11日に「11.11反原発100万人大占拠」との名称の大規模なデモ行進(本件デモ)を計画した。本件連合は,当初は,従前と同様,本件センター長に対して,公園地一時使用届出書を提出することにより,本件公園を本件デモの出発地として利用することができると考えていたが,同年9月ころ,本件連合のメンバーの一人が本件センターに相談したところ,相手方においては,同年8月ころ,公園地一時使用届出書を廃止し,公園条例13条1項の占用許可による運用に変更していたため,公園地一時使用届出書を提出しても受け付けられないことが判明した。
    本件連合は,同年9月から10月にかけて,警視庁とも打ち合わせを行ったうえで,東京都建設局東部公園緑地事務所と折衝し,本件デモの集合場所として本件公園の利用を認めるよう求めたが,相手方は,本件公園の日比谷公会堂及び大音楽堂以外では集会,デモを禁止しており,同年11月11日は両施設とも予約が入っているうえ,園地も大規模イベントが予定されているので,同日の本件デモのための本件公園の利用は認められないとの立場を譲らなかった。(疎甲2,23,乙9)
    オ そこで,抗告人は,平成24年10月26日付けで,処分行政庁に対し,「目的及び種別Jにつき「集会(デモ出発のための一時使用。集合状況をみつつ順次デモ出発)」, f承認希望日時」につき「2012年11月11日(日曜)13〜15痔」,「使用希望施設」につき「日比谷公園霞門とその周辺」 (本件申請部分。その範囲については,争いがある。),「参加人員の詳細」につき「予定人数1万人」などと記載した,使用承認申請書を提出して本件申請をした。(疎甲1)
    カ 処分行政庁は,平成24年10月31日付けで,本件申請につき,公園管理上の支障となることを理由に許可しない旨の本件処分(24東公管第971号)をした。(疎甲13,疎乙1,7)
    キ なお,本件申請部分の範囲について,抗告人は原決定別紙2の平成24年11月2日付け主張書面(3)に記載された部分(以下「健康広場等部分」という。)であると主張しているが,相手方は原決定別紙4のド分(以下「主園路部分Jという。)であると理解している。
    (抗告人の原審主張書面(3),疎乙11)
    (3) 本件公園の現況及び使用状況等
    ア 本件公園は,晴海通り,日比谷通り,国会通り及び祝田通りに固まれた長方形の形状をした公園であり,その圏内には,日比谷公会堂(収容人員2074名)及び大音楽堂(収容人員3114名)の2か所の集会施設が設置されているほか,第一花壇,第二花壇,小音楽堂,大噴水,健康広場,草地広場,にれのき広場等からなる園地がある。圏内には周辺道路に面した各門と園地・圏内各施設への往来のための動線である園路が設置されており,本件申請部分である霞門は,本件公園の南西部の国会通りに面した西幸門及び中幸門と本件公園の北東部の晴海通りに面した桜門を結ぶ主園路が途中で祝田通りに接するように西側に湾曲した部分に存し,祝田通りに面している。(甲19,相手方の原審意見書その2)
    イ 本件公園の平成24年11月11日の使用状況は以下のとおりである。
    (ア) 日比谷公会堂及び大音楽堂
     両施設ともに別件の集会のため終日使用の予約がされている(原決定別紙4のゝ擇哭∋仮函法(疎乙9,10)
    (イ) 原決定別紙4のの園地部分
     農林水産省及び財団法人日本農林漁業振興会主催の「第51回農林水産祭実りのフェスティパル」との名称の催事と第3回ファーマーズ&キッズフェスタ実行委員会主催の「第3回ファーマーズ&キッズフェスタ2012」との名称の催事(以下「本件催事1」と総称する。)が,平成24年11月10日及び11日の午前10時から午後4時までの日程で併催される予定である。これらの催事は,これまではそれぞれ単独で実施されており,昨年度実緩では,それぞれ2日間で4万人以上の来場者があり,本年は,初めて併催される形になることから,当日は多くの来場者が予想されており,主催者は混雑時に入場制限することも予定している。
    また,本件催事1では,農機具や生産品の展示をする出展だけにとどまらず,飲食物を提供する出展や農林水産物の展示即売,乗馬体験等も予定されている。(疎甲17,18,疎乙9,14)
    (ウ) 原決定別紙4のい留狠鷲分
     日比谷公園菊花連盟,東京都及び千代田区主催の「平成24年度東京都観光菊花大会」との名称の催事(以下「本件催事2」という。)が,平成24年11月1日から同月23日までの午前10時から午後4時の日程で開催される。
     本件催事2では,菊花約2000点を展示して一般客の観賞に供し,菊花の苗の販売も行われる。(疎甲20,疎乙9)
    ウ 抗告人が本件申請部分であると主張している健康広場等一部分は,祝回通りと晴海通りとが交わる本件公園の北角付近にある健康広場と祝田通り沿いの緑地道路と並行する健康広場から霞門方面に向かう園路からなる部分である。本件公園の北西部には,祝田通りに面した出入口が2つあり,当該出入口からは,本件公園の主園路を通ることなく,健康広場に出入りすることができる。健康広場の南側にはテニスコートがあり,健康広場から霞門方向へ向かう園路は,幅員約2メートルから2.5メートルの未舗装の散策路であり,その延長距離は,約15 0メートルである。散策路は,飲食屈の日比谷パレスの裏側を通り,トイレの横で主園路に通じ,主園路を経由して霞門に到達することができる。(疎甲19,23,26,乙11,抗告人の原審主張書面(3))
    (4) 本件連合が計画している本件デモの参加者の誘導体制等
     本件連合は,平成24年11月11日の本件デモの当日は,警備誘導等の要員として本件公園の4隅や各出入口に合計150名程度を配置するほか,霞門横に宣伝カーを配置し,参加者に対し,本件公園の外周の歩道を経由して,上記祝田通りに面した出入口から健康広場に参集するよう誘導し,本件デモが主園路を経由する部分は,人員の配置及びコーンやロープの設置により,本件デモ参加者には主園路の北西側の車線のみを通行させ,主園路の南東側の車線は運搬車両や一般の通行人のために確保する計画である。また,抗告人は,当日,大音楽堂を使用する団体が午後3時半から予定している本件公園を出発地とするデモとの調整についても警視庁と打ち合わせをし,仮に本件デモの出発が午後3時を過ぎたときは,上記団体の出発時間を遅らせるか,本件デモを途中で打ち切るなどの方策を採ることになっている。
    (5) 本件申立て及び本訴の提起
     抗告人は,平成24年10月30日,本案訴訟(本件処分後の訴え変更により,本件処分の取消の訴え及び申請型義務付けの訴えとしての一時的使用を許可する処分の義務付けの訴えの併合提起に整理された。)
    を提起するとともに,本件申立てをし,処分行政庁は本件申請(同年11月11日のデモ出発のための本件公園霞円周辺の一時的使用申請)を仮に許可せよとの決定を求めた。(顕著な事実)

    2 判断
     当裁判所も,本件に顕れた全疎明を検討しでも,本件処分は取り消すべきものということはできないから,行政事件訴訟法37条の5第1項の「本案について理由があるとみえる」という要件は満たされておらず,同項の「義務付けの訴えに係る処分がされないことにより生ずる償うことのできない損害を避けるための緊急の必要性」について判断するまでもなく,本件申立ては理由がないと判断する。その理由は,以下のとおり付加訂正のうえ,次項以下において当審における抗告人の主張に対する判断を付加するほか,原決定の「第3 当
    裁判所の判断」の2(6頁22行目から13頁2行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。
    (1) 原決定の付加訂正
    ア 9頁14行目の「審査基準」の次に「(以下「本件審査基準」という。)」を加える。
    イ 11頁17行自の「また,仮に申立人が」から20行目の「言わざるを得ない」までを削り, 12頁7・8行自の「本件申請の際に,」から10・11行自の「認められない中では」を「抗告人がその陳述書(疎甲23) において述べる警備・誘導体制だけでは」に改める。
    ウ なお,引用に係る原決定中「別紙」とあるのは,いずれも「原決定別紙」と読み替える。
    (2) 抗告人の当審における主張について
    ア 抗告人は,本件公園に1万人が同時に集合することはなく,一度に本件申請部分を使用する人数は5000人から6000人程度が上限であり,他方,健康広場等部分には7000人が収容可能であるから,本件申請部分である健康広場等部分は,デモの出発場所としての使用のために十分な収容能力があり,原決定の事実認定には誤りがあると主張する。
     しかしながら,本件デモは,特定の組織化された団体によるものではなく,広く一般市民に参加を呼びかけて行われるものであるから,その参加者の人数をあらかじめ相当程度の確度をもって把握することは容易ではなく,現に平成24年7月29日のデモの際には,本件連合があらかじめ提出した公園一時使用届出書において「参加人数約1000人でデモ行進出発のため,同日午後3時30分から午後4時までの間,本件公園の中幸門につき一時使用する」旨記載していたが,実際には当日本件公園の中幸門付近には1万人以上が集まり,デモの最後尾が本件公園を出発したのは午後6時10分となったことは, 前記1(2)ウ記載のとおりであって,本件において提出された各疎明を検討しでも,本件申請部分を使用する人数が抗告人主張のような人数にとどまると認めることは困難である。むしろ,抗告人自身が,本件申請に係る申請書(疎甲1)において「参加人員の詳細」の項に「予定人数10,000人」と記載して申請していることからしても,本件申請の許否を判断するに当たって,処分行政庁が,抗告人主張のように参加人数を5000人から6000人程度が上限であることを前提とせず,本件申請に係る1万人が現に本件公園に来場した場合を想定して,これを収容することが可能な広場があるかどうかという観点から本件申請の可否を判断したことが不合理とはいえない。
     また,健康広場等部分の収容能力の点についてみると,疎乙14によれば,抗告人が主張する健康広場は,樹林地を除いた面積が約2000平米であることが認められるから,抗告人が主張するとおり1平方メートル当たり2名が可能であると計算しても,4000人程度の収容能力しか有してないものと推定される。
     そして,上記健康広場以外の部分である〃鮃広場から霞門に向かう緑化道路に平行して設置されている散策路,∋矯路から主園路を経由して霞門に至るまでのスペース及びテニスコート脇のスペースを加えて検討するとしても,疎明(疎乙11,14)によれば,これらの面積は,,錬械沓喫進メートル(,蓮ど員約2メートルから2.5メートル,延長距離150メートルの通路であるところ,幅員をすべて2.5メートルとして計算した場合の面積) ,△鰐鵤械娃以進メートル(幅5メートル,延長約50メートルの部分の約250平方メートルと霞門付近のスペース50平方メートルを合わせた面積),は320平方メートル(幅4メートル,延長80メートル)であると認められるから,その合計は995平方メートルであり,仮にこれらの部分にも健康広場と同様に1平方メートル当たり2人が収容可能であるとしても,収容可能な人数は1990人と推定される。その結果,健康広場部分等の散策路を含む利用可能なスペースすべてを利用しても,その収容能力は5990人にとどまるものであって,原決定が本件申請部分である健康広場等部分に1万人を収容する能力はないと判断したことが,客観的な証拠に基づかないものであるとはいえない。
     したがって,この点についての抗告人の上記主張は理由がなく,この点に関する原決定の判断が事実を誤認したものとは認められない。
    イ また,抗告人は,警視庁との間で他の団体のデモとの調整について打ち合わせ済みであり,本件デモ参加者の誘導警備のための人員を配置する具体的計画もあるから,本件デモの当日,本件公園を利用する他の団体等との競合による公園管理上の支障が生じることはないと主張し,疎甲23の陳述書にはこれに沿う陳述部分がある。
     しかしながら,上記のとおり,抗告人が本件申請部分として主張する健康広場等部分の収容能力は,前記認定のとおり,利用可能なスペースすべてに本件デモの参加者を収容したとしても約6000人程度であり,実際に,前記の,了矯路及び△了矯路から主園路を経由して霞門に至るまでのスペースの全部に参加者が集合するとすれば,当日の本件公園の使用状況(前記1(3)イ)に照らせば,それ自体で,他の公園利用者の支障が生ずる具体的な蓋然性があるのみならず,本件申請に係る1万人が本件公圏内に来場したときは,健康広場等部分だけでは収容することはできず,健康広場等部分以外の園地に本件デモの参加者があふれ出し,他の公園利用者の利用との聞に競合を生ずる可能性があることは容易に考えられるところであって,現に,本件連合が平成24年7月29日に実施したデモにおいては,本件連合において相当数の誘導入員の配置をしていたにもかかわらず,本件公園の他の利用者の出入りを阻害するという結果が生じていたことや,本件デモの参加者が本件公園の係員等の制止や抗議を無視して演壇を設営するなどしていたことに照らすと,上記陳述部分は,にわかに採用することができない。
     したがって,本件申請に係る使用が行われたとしても混乱が生ずる可能性がないとの抗告人の主張は理由がなく,この点に関する原決定の判断に誤りがあるとは認められない。
    ウ さらに,抗告人は,原決定が認定した公園管理上の支障とは,客観的な事実に基づかない抽象的な危険であって,証拠上の根拠を欠くと主張する。
     しかし,原決定は,使用関係の調整又は公園の管理に支障を及ぼすことの防止の観点からの許否の判断については,集会の用に供される本件公園の管理者において,本件公園の公園としての性格に応じ,また,その規模,構造,設備等を勘案し,公園としての使命を十分達成せしめるよう適正にその管理権を行使すべきであり,公園の管理に支障を及ぼすか否かの判断は,公園管理者の自由裁量に属するものではなく,客観的事実に照らして具体的に明らかに予測されるかどうかという観点から行われるべきであるとしたうえで,集会の自由が憲法上の重要な基本的人権であることなどを踏まえつつ,物理的な可能性や使用関係が競合する場合の調整の面から利用可能であるか,公園内で集会が開催されることによって,公園管理上の支障が生じたり,公園周辺で人の生命,身体又は財産など基本的人権が侵害され,公共の福祉が損なわれるという具体的危険が生じる蓋然性があるかという点を,当審が前記1に認定したのと同様の客観的事実を認定したうえで,これらの事実に基づいて判断したもので、あって,抗告人の主張するように事実的裏付けのない抽象的な危険に基づいて判断したものとは解されない。
     したがって,この点についての抗告人の主張は理由がない。
    (3) 以上によれば,集会の自由が憲法に保障された重要な基本的人権であり,また,本件デモを実施するについて本件申請部分を使用する強い必要性が存在することが認められることは,抗告人主張のとおりであるが,本件申請に係る日時における本件公園の利用状況や収容能力を前提とする限り,公園管理上の支障を理由に,本件申請を許可しないとした本件処分は,やむを得ないといわざるを得ない性質のものであって,これを違法ということはできない。
     そうすると,本件処分が取り消されるべきものであることについての疎明はないというべきであるから,本件申立てを却下した原決定は相当であって,本件抗告は理由がないから,これを棄却することとして,主文のとおり決定する。

    平成24年11月5日

    東京高等裁判所第7民事部
    裁判長裁判官 市村 陽典
       裁判官 齊木 利夫
       裁判官 清水 響

    別紙
    当事者目録

    抗告人 小泉岳義
    同代理人弁護士 小島 延夫
    同       福田 健治
    同       上柳 敏郎
    同       河崎健一郎
    同       江口 智子
    同       神原  元
    同       穂積 匡史
    同       鈴木 麻子
    同       阪田 勝彦
    同       山下 瑞木
    同       花澤 俊之
    同       小松 圭介

    東京都新宿区西新宿二丁目8番1号
    相手方 東京都
    同代表者知事代理副知事 猪瀬 直樹
    処分行政庁 東京都東部公園緑地事務所長
          北原 恒一
    同指定代理人 江村 利明
    同      直井 春夫
    同      村木 健司
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