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    国会周辺の抗議活動に対する警察の過剰警備に抗議する申入書(2018年3月29日執行)

    • 2018.03.29 Thursday
    • 19:58

    警察庁長官 栗生俊一 殿

     

    国会周辺の抗議活動に対する警察の過剰警備に抗議する申入書

     

    申入の趣旨

     

    国会、官邸周辺の警備については、抗議活動等に参加する市民の表現の自由の不当な制約に当たらぬよう必要最小限度の規制に限定されたい。

     

    申入の理由

    1 私たちは、2012年より官邸前や国会周辺における市民によるデモや抗議活動を見守り、その表現の自由を守るために活動してきた有志の弁護士集団である。

      本年3月16日を中心として、所謂「森友学園をめぐる問題」や「公文書改ざん問題」に抗議する多数の市民が国会及び官邸周辺で抗議活動を行った(以下、「本件抗議活動」という)。ところが、これに対して、警察が明らかに必要な限度を超えた規制を行ったので、これに対し、私たちは、強く抗議すべく、本申入書を提出する。

     

    2 そもそも、民主主義は、国民がその言論活動を通じて政治過程に参加することを前提としており、とりわけ権力の腐敗や汚職を批判する言論活動は、専制政治から民主主義を守る最後の防波堤である。憲法21条1項は、「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する」と定める。民主主義と国民の権利は、「国民の不断の努力によつて保持しなければならない」と定めるのはその趣旨であり、国民がデモや集会その他の表現行為により自らの意見を表明し、政府の腐敗や汚職を追及する権利は最大限度尊重されなければならない。

    したがって、デモや集会の際に警察活動により必要な警備が認められ、それにより国民の言論活動が一定程度規制できるとしても、その規制は、〔榲が正当なものであり、¬榲達成のために規制手段が必要な範囲のもので、かつ5制によって得られる利益とこれによって侵害される権利・利益が均衡している場合にのみ認められる(比例原則)。かが常に吟味されなければならない。

    また、政府の腐敗や汚職を批判する言論活動が警察の警備活動により恣意的に妨げられてはならないことも当然である。この点、警察法2条2項は、「警察の活動は、厳格に前項の責務の範囲に限られるべきものであつて、その責務の遂行に当つては、不偏不党且つ公平中正を旨とし、いやしくも日本国憲法の保障する個人の権利及び自由の干渉にわたる等その権限を濫用することがあってはならない。」と定めているから、デモや抗議参加者や歩行者の安全のために本件抗議活動に対して規制を行うことが許されるとしても、その規制は国民の生命身体の保護のために必要最小限度のものでなければならず、これを越える規制は、憲法21条1項、同13条(比例原則)及び警察法2条2項に違反して、違憲・違法である。

     

    3 本件抗議活動は、森友学園をめぐる汚職や財務省による文書改ざん等、政治腐敗を追及する極めて公益性の高い言論活動である。行政に対する信頼が根底から揺るがされ、行政府が謝罪を行わざるを得ない事態となっており、これに対する市民の怒りは従前の国会周辺における抗議活動に比しても非常に強いものとなっている。行政の腐敗に対する怒りの声を、行政府ひいては公権力はこれを誠実に受け止めなければならないことは明らかであり、政治の正常化を求めて怒る市民に対して、公権力がこれを力と権力によって抑圧すれば、より多くの反発が生じるのは必至である。

    したがって、本件抗議活動に対する公権力による規制は、これまで以上に謙抑的で、市民の声をどのように受け止めるかという観点においてなされなければならず、公平中立性に疑いをもたれるものであってはならない。ところが、3月16日に行われた本件抗議活動に対する規制は、以下のとおり、明らかに必要最小限度の規制を超えていた。

     

    4 本年3月16日に行われた抗議活動には、以下の点において、過剰・不当な点があり、違憲・違法であることは明らかであるので、直ちに改めなければならない。

     

    |浪偲苅拡崕亳と4番出口の間の不当な通行規制

    地下鉄「国会議事堂前」駅の3番出口と4番出口の間(資料1:画像「A2」及び「A3」に当たる区域)では、警察官が歩道上に鉄柵によるバリケードを設置し、また、歩道の進行方向と垂直になるように隊列を組んで歩道上の抗議参加者が歩道上を移動できないように規制したことにより、抗議参加者の歩道上での通行が著しく妨げられ、抗議行動が妨げられた。

    警備当局としては、歩道上の人数が過多になることで将棋倒しや転倒等の危険が生じることを防ぐために必要性がある措置だと反論することが考えられる。しかし、上述の通行規制によって「A2」及び「A3」地点はほとんど無人とも言えるほどの十分な空間が確保されていたため、かかる無人の空間への抗議参加者の立ち入りを認めても危険が生じないことは明らかであるから、警察が隊列を組んで通行を規制することに何ら合理性はなかった(資料2:写真)。また、歩道上の状況はなんら変化していないにもかかわらず、警備当局は、スタッフ側の抗議又は時間の経過により、警察官による隊列の封鎖位置を少しずつ引き下げるような対応も取っており、当該封鎖の必要性が存在していないことを警備当局としても把握していたものと評価せざるを得ない。

    現に、先週月曜日(12日)の夜に行われた官邸前抗議では、歩道上に空間が生じた際には、現場の警察官は抗議呼びかけスタッフによる誘導を要請した上で、抗議参加者を官邸寄り前方方向に移動させる措置を執った。同様の措置を摂ることは金曜日(16日)にも十分可能であったのであり、同日に行われた通行規制はまったく無用なものであった。

    よって、歩道上の通行に関する当該規制は、過剰・不当なものであることは明らかである。

     

    地下鉄国会議事堂前駅の出口付近での不要な封鎖

    同駅においては、首相官邸に近い歩道につながる3番出口及び4番出口は抗議が開始される19時30分に先立つ18時ころから抗議が終了する22時頃まで、終始通行が規制されており、過剰な封鎖が常態化している。当該封鎖状況は下記表のとおりである。

    当該封鎖により、「国会議事堂前」駅を下車して抗議行動に参加すべく地上に上がろうとする参加者の多くが地上に出ることを妨害され、抗議行動が妨げられた(資料3:写真)。

    警備当局としては地上の歩道が抗議参加者で埋め尽くされているとして、事故防止のための必要な措置であると反論することが考えられる。しかし、上記,能劼戮燭茲Δ亡嬰〜以眛擦禄淑な空間が確保されていたことに加え、抗議の継続のための空間が満員になったとしても、歩道上においては警察官が設置したカラーコーンによって通路可能なスペースが確保されていた。3番出口及び4番出口から地上の歩道に上がった人はその通路を使って抗議参加者の最後尾に安全かつ円滑に合流することが容易であった。歩道上のカラーコーンによる通路確保という形で、警備は必要十分なされていた。

    【表:封鎖状況(弁護団が把握した限りの概要)】

       各記載のうち×が封鎖された状態、〇が開放された状態を指す

     

    1番

    2番

    3番

    4番

    抗議開始前

    18時頃―19時30分頃

    上り

    下り☓

    上り

    下り○

    上り

    下り○

    上り○

    下り○

    抗議前半

    19時30分―21時頃

    同上

    上り

    下り○

     

    上り

    下り○

    上り

    下り○

    抗議後半

    21時頃―22時頃

    同上

    上り

    下り○

    上り

    下り☓

    上り

    下り☓

    抗議終了後

    不明

    開放

    開放

    開放

      よって、当該封鎖行為は、市民の移動を妨げる過剰・不当なものと言わざるを得ない。

     

    7挌に当たっている機動隊員による暴力が多数確認されていること

      本年3月12日以降、官邸前での抗議活動が続けられているが、同月16日に至るまで通行規制のために歩道に上がった警察官が、抗議参加者の持つプラカードやカメラを手で払い除けたり、参加者の体に背後から肘打ちしたりするなどの暴力を振るっていることが参加者の多数の証言から明らかとなっている(資料5:ツイート)。

      具体的には、3月12日、官邸前の通路でスタンディングをしていた女性が、婦人警官2人に引きずられて撤去させられ、足を痛める、ストッキングが破れる、服のボタンが取れるなどという被害を受けたという申告が、見守り弁護団に寄せられている。   

    また、見守りに参加した弁護士においても、隊列を組んだ警察官が市民の通行を妨害していた際、警察官が市民を手で押し返す行為を現認している。

      また、本件抗議活動において、警察官が参加した市民に対して「一般の人はデモには来ません」(つまり、デモに来ている人は一般人ではないということ)などと冷笑しながら言い放つなど、極めて侮辱的発言・態度を取るに至っている。なお、そのような発言がなされながら、抗議活動の参加者ではない通行人に対してすら、通行妨害が行われている様子が、見守り弁護団において多数目撃されている。

      当該暴力、暴言は、抗議活動に来た市民の怒りを過剰に煽るものに他ならず、なんら正当性は認められない。先に述べたとおり、警備にあたる警察官の心構えとして、市民の怒りをどのように受け止めるかという視点を共有した上で、対応されたい。

     

    な眛擦満員で将棋倒しが発生し得る危険な状態が発生しているにもかかわらず車道を緊急的に解放する準備がないこと

    資料1:貼付画像「A」側では、歩道と車道の間に多数の鉄柵が設置された。鉄柵同士は相互に鉄板及びロープで固定されており、容易に撤去・解放することができない状態に置かれていた(資料5:写真)。これにより、仮に抗議参加者が増加し、歩道内で抗議するために立ち止まる人が滞留して歩道上が飽和状態となった場合であっても車道に避難することができない状態となっていた。そのため、歩道上が飽和状態となるような不測の事態が発生した場合に、歩道内で転倒や将棋倒しが発生し、重大な事故が発生する危険が高い。

    現に、金曜日(16日)の抗議においては、人混みの中で気分が悪くなり帰宅しようとした参加者が歩道上の警察官の人並みと鉄柵に阻まれ、容易に人混みから離れることが出来ずに救護活動をするボランティアスタッフに引っ張り出される形でようやく抗議現場を抜け出すという事態が生じている(資料6:ツイート)。また、子ども連れの参加者が、歩道を警察に封鎖されていたため身動きが取れなくなり、ボランティアスタッフの援助を受けて脇から路外に出ようとしても設置された鉄柵により出ることができないという事態となった。警察官に要請をしても何ら対応は取られず、結果として救護班が用意した脚立を使用して鉄柵を乗り越えることができたが、警備体制として参加者の安全に配慮するようなことはなかった(資料7:ツイート)なお、この参加者は、路外に出た後は、警察官から身体を押されながらプラカードをしまえと執拗に申し向けられ、「身体を触るのを止めて下さい」と懇願しても「プラカードをしまったら触りません」という強硬な態度を取っており、抗議そのものを抑圧しようという姿勢すら見受けられる。

    かような事態に対処するためにも、抗議参加者が一時的にでも車道に退避できるような体制を整えておくことは必要不可欠であるから、鉄柵を強固に固定し、容易に撤去・解放することができない状態で警備を行うことは、緊急時の柔軟な対応を阻害するものと言わざるを得ず、ひいては参加者の安全を害する結果となり得るものであって極めて危険である。かような抗議は、従前の抗議活動の際に見守り弁護団が重ねて抗議を行っており、市民に対する危険が生じていないなどということは到底言えない。

    当該警備体制は、警備を行う側が、通行の安全確保等を唱えながら、実態として市民を危険にさらすという結果を招いているものと評価せざるを得ず、当該警備対応は極めて不当であり、市民がいかに安全に抗議活動を行えるかという視点から、改めて警備体制を見直すべきである。

     

    ァ々概銚討咾けスタッフや救護班が緊急的に車道に出ることを妨げられていること

      抗議を呼びかけた団体のメンバーや、救護班、及び見守り弁護団のメンバーについては、抗議現場での混乱や事故の発生の防止、参加者の安全確保等のために、現場での警察官と協力して病人の救護やスタッフ間の連絡、交通整理等を行う目的で緊急の必要性がある場合には、一時的に車道に出ることもやむを得ないものといえる。しかし、金曜日(16日)の抗議では、スタッフが腕章をしているにもかかわらず、「抗議参加者は歩道にあがれ」などと言われて車道に出ることを妨害されるスタッフが続出した。

    これにより、多数の市民が抗議に参加している現場において、混乱や事故を避けるために円滑な進行や補助を行うことが妨げられた結果、無用の混乱が生じ、事故や体調不良者の救護に支障が生じるに至っている。

    当該警備についても、警備を行う側が、参加者の安全確保等を唱えながら、実態として市民を危険にさらすという結果を招いているものと評価せざるを得ず、当該警備対応は極めて不当であり、市民がいかに安全に抗議活動を行えるかという視点から、改めて警備体制を見直すべきである。

     

     以上を全体として抗議参加者と警備警察官との間に軋轢が高まっており本来避けられる衝突や逮捕が生じやすくなっていること

      本年3月16日の抗議活動においては、上記のとおり過剰・不当な警備により、警察官と参加者との衝突が生じることとなり、2名の逮捕者を出すに至った。当該逮捕者らは勾留請求されることなく釈放されており、本来逮捕の必要性があったかすら疑問の余地なしとしないが、それを措くとしても、行政府の公文書改ざん等を受けた市民の怒りに対して、警察官が過剰・不当な警備によりこれを抑圧しようとした結果として、本来避けられるはずの軋轢が生じ、無用な衝突や逮捕が生じざるを得なくなったものと評価せざるを得ない。

      かような衝突を未然に防ぐためにも、市民の移動、抗議活動を尊重する形での警備体制を取ることがなによりも求められるものである。

     

    5 以上のとおり、本件抗議活動に対する規制は、2012年以来行われてきた規制と比較しても著しく過剰であり、一部の規制は抗議によって撤廃されたことからからも、明らかに必要最小限度とはいえない。そればかりか、過剰な規制によって多数の集会参加者に混乱を招き、かえって人の流れを妨げ、危険な状態が作出されるに至ってすらいる。本件抗議活動に対する規制は、憲法21条1項、警察法2条2項に違反して、違憲・違法であった。申入の趣旨のとおり、国会、官邸周辺の警備については、抗議活動等に参加する市民の表現の自由の不当な制約に当たらぬよう必要最小限度の規制に限定するよう、申し入れるものである。

     

      最後に、今回の警備体制の問題点を端的に表現したい。それは、警察が一方的に設定した警備目的の正当性のみが強調され、市民の憲法上の権利である抗議行動の自由が何ら顧みられていない、ということである。

    確かに、参加者の身体の安全、歩道及び車道の交通の円滑は警察の警備行動の目的として正当なものである。しかし、これらの目的を達成しようとする余り、抗議行動を行う市民の自由が過度に制約されてしまうのであれば、それは、「安全」を名目にすれば結果的に「自由」が抑圧されても致し方ないということに他ならない。警察の責務は、「自由」を抑圧せずに「安全」をいかに確保することにあるのであって、警察がより重要と考えた目的のみが守られ、他方で市民の抗議する権利がないがしろにされてしまうということはあってはならないし、警察にそこまでの法的な権限が付与されているものとは到底解されない。

    したがって、警備当局が抗議参加者の自由を尊重せず、「安全」「交通」を理由とする過剰警備を改めないのであれば、見守り弁護団としてはそのような態度を一切容認しないし、今後も引き続き、抗議する。

    以上

     

    2018年3月29日

     

    官邸前見守り弁護団

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